九州ツーリング

フェリーの格納デッキにバイクを繋ぎ留めると、バックパックを背に上のデッキに出てみた。

海の香りを含んだ風は少し冷たく、梅雨明け間近の空に散らばった灰色の雲の隙間を真っ赤な夕日沈んでゆく。
その夕日の放つ鮮やかな光が大小さまざまな雲のキャンバスをオレンジ色に染めている。

急いでバックパックからカメラを取り出しシャッターを切った。
(タイトルは旅立ちの夕日かな)と考えていると
『ボーー』と汽笛の音がして船が動き出した。

黄昏の中をゆっくりと動き出した船は外洋に出ると速度を増して、薄暗くなった海面に長く伸びた白い波の軌跡を置き去りにしてゆく。

風に雑じって頬に当る芥子粒より細かい波しぶきが妙に心地いい。

夜の帳が下りても暫く海を眺めてると、岸の夜景が次第に薄れてゆくなか、代わって雲の合間に星が輝き始めた。
気が付くとデッキの人影も無くなり、風が出てきたのでそろそろキャビンの中に入ることにした。

キャビンは2等船室。

船室と言っても、畳が敷き詰めてあるだけの、だだっ広い部屋で朝まで過ごす、いわゆる雑魚寝だ。

到着は明朝6時。
僕も、明日のツーリングコースを地図で確認してから早々と眠りについた。

朝目覚めると、すでに周りでは人々が下船準備をしていた。
僕も顔を洗ってオートバイの所に向かった。

フェリーが係留されてゲートが開くと、次々に車やオートバイが朝の日差しを浴びて流れ出ていく。

ここは一足先に梅雨明けした南国宮崎、早朝だと言うのに、ジリジリと照りつける日差しに、じっとしているだけで汗が噴出す。
とにかく早く走り出したい、そんな暑さだ。

地図を再度確認する。
まずは海岸沿いの道をひたす南下だ。
5日かけて九州南半分を走り抜け、再びここ宮崎の日向に戻ってくる。

素敵な景色と、美味しい食べ物、そしてなんと言っても地元の人々とのふれあいを探す。
それがこの旅の目的だ。

期待に胸を膨らませ、僕はアクセルを開いた。


フェリーの格納デッキにバイクを繋ぎ留めると、バックパックを背に上のデッキに出てみた。

海の香りを含んだ風は少し冷たく、梅雨明け間近の空に散らばった灰色の雲の隙間を真っ赤な夕日沈んでゆく。
その夕日の放つ鮮やかな光が大小さまざまな雲のキャンバスをオレンジ色に染めている。



急いでバックパックからカメラを取り出しシャッターを切った。
(タイトルは旅立ちの夕日かな)と考えていると
『ボーー』と汽笛の音がして船が動き出した。

黄昏の中をゆっくりと動き出した船は外洋に出ると速度を増して、薄暗くなった海面に長く伸びた白い波の軌跡を置き去りにしてゆく。

風に雑じって頬に当る芥子粒より細かい波しぶきが妙に心地いい。

夜の帳が下りても暫く海を眺めてると、岸の夜景が次第に薄れてゆくなか、代わって雲の合間に星が輝き始めた。
気が付くとデッキの人影も無くなり、風が出てきたのでそろそろキャビンの中に入ることにした。

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